けんぶつざえもん

見たり読んだりしたことについて、ときどき書きます

海老名市立中央図書館に行ってきた(2)

 4階キッズライブラリーに上がりました。
 この辺りからやや朦朧としていたようです。記憶違い等ありましたら申し訳ない。

 児童書コーナーの「キッズライブラリー」は、エレベーターかその横の階段で上がることができます。私は3階まで中のおしゃれ階段を上がり、3階から4階へは横の階段で上りました。エレベーターのすぐ脇に貸出用のベビーカーが数台。
 親子連れでとても賑わっていました。入ってすぐからカウンターまでの真っ直ぐな通路が販売エリアで、その奥が図書館エリアといった感じでした。

 

配置のこと

 元プラネタリウムの天井を活かして…とは言うけど、児童エリアがまるで隔離されてるようで、本当は入り口入ってすぐのところが良さそうなのに、というのが話を聞いたときからの印象でした。
 これはこれで隔絶されているので安心して大人に気兼ねせず楽しめそうな雰囲気なのですが、やっぱりエレベーターに乗らないと(または階段で上がらないと)たどり着けない児童室ってどうなんだろう。子どもだけで気軽に上がっていけるかしら。私は幼少時エレベーターに一人では乗るものじゃないと言われました。何かあったらと不安に思う保護者はいるのではないでしょうか。
 今は子どもが学校帰りに図書館寄って、って現実的ではないのですがね。

 

棚のこと

 ドーム径11m、座席数85だったという元プラネタリウムを活かした書架。外周は海外の児童読み物、内側は日本の児童読み物+α、その内側に低めの書架があり絵本が置かれていました。意外と大きさはないなぁという印象でしたが、読み物の棚が壁一面という印象のため、内側はきっと子どもの目には大きいのだろうと思いました。
 飾り棚に飾ってあるのは大型絵本(集団への読み聞かせなどで使う用の巨大な絵本)です。写真で見たときから気になっていたんだ! 子どもは手にとれないけど全く同じ本の通常サイズが手渡せることを前提とすればなかなかいいアイデアな気がします。ただし、結構貸し出されて空になっていました。写真にあってびっくりした『きんぎょがにげた』もなかった。
 テラスと平行に物語以外の知識の棚(主題の棚?科学読み物の棚?なんと言ったらいいんだろう?)がありました。これはそんなに背が高くありません。

 

棚のこと:排列・書架整理

 知識の棚を観察してくるのを忘れました。
 というのは、壁一面の読み物の棚が目に留まってぎょっとしたからです。
 利用がとても多いのだと思います。結構スカスカになっている部分が見受けられました。本の量が少ないとき、図書館の棚では左に寄せてブックエンドで倒れないように止めたりするのが一般的ではないかと思うのですがそのときはブックエンドがなくて、棚の真ん中だけぽっかり空いたりしていました。その代わりなのか、カウンターの近くに返却本らしいブックトラックが2台山盛りでありました。
 また、子どもが面揃えしてあった本を後ろに押したらしく、低い棚の本の背が本の奥行きによってバラバラになっていました。しかし子どもが面揃えしてある棚の本を押して回るのは全国共通なんじゃないかと思うのでそれは仕方がないです。押せるんだったら押したくなる。
 それよりもいただけなかったのは、やっぱり同じ番号の中の棚がぐっちゃぐちゃだったことです。外側の壁一面の外国文学読み物は全部同じ数字が振り当てられており、恐らく著者名の仮名が一文字とってあるのですが、それが50音順に排列されていませんでした。特に、ここがマだから次の棚あたりヤ・ラ・ワかな?と思ってみた隣の棚にごっそりタ行とかが入っていたりして(今書きながら実は言語別分類だったりしてちゃんと見たら違う数字だったのかな?とも思う)、なんで…?と思ってしまった。
 全体に利用の多さとスタッフの人手が見合っていなくて書架整理が行き渡らなかったのかなぁ、という印象でした。開館から1週間も経っていないのだし仕方ないのかな、あまり悪くは言いたくありませんが、なんだか「とりあえず棚に詰めるだけ詰めたのでこれから排列直しと書架整理をします」という状態に見えたのです。

 

棚のこと:選書・分類

 棚に残っている読み物も古い本が目立ったので余計に「売れ残り」っぽさが目立ってしまったような印象です。具体的には、若草物語の古そうな、現在も版を重ねて流通しているわけでもなさそうなものが並んでいたり。ぱっと見て面白そうな本から貸し出されていったのかもしれません。定番の読みつがれた作品でも、できれば新しいものに買い換えて物体としての本は新しくしていってほしいなぁなどと思います。
 壁の内側の棚は日本の読み物が終わった後、ファンタジーやYAや怖い話、日本の名作、世界の名作(この辺りはうろ覚えです)といった分類があったようです。
 …YA小説のカテゴリがあったんですよ!
 しかし何をもってYAとするかはとても難しいところなのに、何をもってYA小説カテゴリを選書したのかはとても気になりました。正直言ってあまり妥当性は感じられませんでした。
 配置も惜しいです。YA(小説に限らず)だけでコーナーを作ってもいいくらいなのに、なぜプラネタリウムのまるい壁の内側の小さいコーナーにしてしまったのか…もっとやりようはあったように思います。
 因みに児童文庫は岩波少年文庫(なんだかはるか昔のデザインのものも並んでいました)や青い鳥文庫など、またジュニア新書やちくまプリマー新書プラネタリウムの外側の壁際の隅っこに別置してありました。入り口から一番奥です。

 

YAおまけの感想

 連日リア充高校生っぽい人たちの写真がアップロードされているのを見かける海老名図書館なのに、YAターゲットの「図書館の」書架がスタバ隣接の1階にないのは勿体無いです。絶好のチャンスなのに。高校の学校司書みたいな問題意識と熱心さを持ったが入ってくれたらそれはそれで大人にとっても興味深い棚ができるのでは?
 TSUTAYA書店の棚も決して悪くはないんだけど(図書館部分の棚の混沌ぶりと比べるととても気持ちがいい空間です)、おしゃれとかハイソな雰囲気とか上質な生活とかのイメージです。
 3階でたまたますれ違った男子高校生の集団の一人が「なんか思ってたのと違った」と友人に言っていたのが気になりました。思っていたのとどう違ったのか、何を期待・予想していたのか、とても聞いてみたかった。

 

著者記号的なもののこと

 ラベルの2段目の数字の後の著者記号らしきものが平仮名だったり片仮名だったりするのが気になった(日本・海外で分けているのかとも思ったがそうでもないらしい)のと、通常は姓の頭文字で取るルールになっている(と思われる)のに名の頭文字で取っている本1冊を見つけたので、児童のカウンターにいたスタッフさんに尋ねました。
 私もこの時点で相当混乱して思考能力が低下していたためやや心もとないのですが、その方とお話させていただいて、私は、
・平仮名か片仮名かは特に関係ない
・この著者の場合は名前で取っている
・(「直さないんですか?」←威圧したかったわけではないけどちょっと驚きが隠せない)ご要望が多ければ変えるかもしれない、申し訳ない。
と言われたと理解しました。申し訳なさそうに言われたので自分が無理難題を吹っかけたみたいでそれ以上強く言えませんでした。
 私はスタッフさんを責めたいわけではありません。対応してくれた人の一存では変えることのできないか、スタッフさんにその権限がなかったのかなぁとも思います。或いはこの種の問い合わせが多くて対応しきれないという判断で方針が立てられているか。
 この本、上下巻の物語なのですが上巻だけがぽつんと棚に並んでいました(たまたまかもしれませんが姓の並びの辺りに指してありました)。後でデータを見たら下巻は書庫B2階とのことで、意図して書庫に入れたというより泣き別れているだけなんだろうと思うと、やるせないです。

 

その他思ったこと

  • 古本市とかに来ている古書店の棚を見ているときの気持ちと近いものがありました。お店によって強い分野が緩やかにありつつ関係のない本も入っており、なおかつシリーズものもばらばらに突っ込まれていることがあるあの感じ。だから、ワクワク感とか発見とか言われるとわからないでもない部分もあるのですが、問題は、図書館がそれでいいのか?それで本当に使えるのか?ということです。
  • オープン間もなくて特に乱れていた可能性もありますが、まずは書架整理、しかる後に分類の確認が必要と感じました。来館者が多いとどう頑張っても棚は乱れるのでスタッフをそれに見合った人数にするのは当然では。もしどうしても人手が足りないならボランティアを頼むとかできないのだろうか。(書架整理オフとか楽しそうだなぁと思ったのは内緒です)
  • 児童書に関しては、色なり文字のサイズなりをもうすこしわかりやすいラベルにしないと、子どもが自分で出してきたところへ戻すことは難しいのでは?

 いずれにしても、オープン5日目だったのでこれからどう変わっていくのか楽しみではあります。
 これで滑り出して数年はこの形で行く以上、特に日常利用する方が中心となって着実に改善していくしかありません。そして、日常利用する方の多くがこれでいいやとおもうのならばこれまでと言うことなのかもしれません。

 私もまた行きたい…今回のショックがだいぶでかかったので次は落ち着いて見られるのではないかと思います。騒ぎが落ち着いた頃にどう変わったか、或いは変わっていないか見てみたいと考えています。

10月14日追記:排列の部分の”50音順に排列されていないませんでした。”という文章の推敲不足に突っ込みをいただきました。お恥ずかしさに本文はそそくさと修正いたしましたが、ご指摘ありがとうございました…!

海老名市立中央図書館に行ってきた(1)

 

  10月5日月曜日、だいたい3時から5時まで、海老名市立中央図書館に行ってきました。

 

初めに言い訳

 なるべく良い点を見ていきたいし、建設的でないまぜっかえしやバッシングは個人的には見たくない。また、スタッフをレファレンスで試すようなことをすると、スタッフの時間と手間を取らせるわけで、普通に利用しにきている人へのサービスに支障が出かねないので慎むべきだと思う。
 そもそもオープン当初の図書館なんて、どこもばたばたしていて当然だ。
 私が知っている某館は夏休みの新規オープン当初は人が多すぎて、普通のおじさんが足を伸ばして地べたに座りだして別のおっさんと喧嘩になるようなありさまだった。以前見学に行った真新しい駅近大型図書館も、見学者が「この棚は…?」と質問してしまうくらい、利用の多さに棚が乱れてスカスカになっていた。
 だから今回も、もうちょっと落ち着くまで待つべきだったかもしれない。ららぽーとができてブックカフェも入るらしいし待とうかな、と思いはした。でも、悪い意味で話題になっていたので野次馬根性に負けて、行ってしまった。
 図書館はよく使うというか正直とても縁の深い人間なので、そちら側からの視点ではあるが、感想を書く。

 

コインロッカー

 ちょっと手違いでアホみたいに荷物が重かったのでコインロッカーをお借りしました。1階の入り口横の見取り図を見てもそれらしい表示はなく、書店とスタバが始まっているので半ば諦めながらもたまたま書店フロアに出ていたスタッフの方に聞いたところ(フロアワークの人に話しかけるほうが全然気持ちが楽なんだなーと実感した)、2階にあるとのこと。
 よって、そのまま階段を上り、ロッカーを探しつつ本棚にびびりつつうろうろしました。この時点で目的はロッカーだったからほとんど空間把握ができていなかったし、サインも見つけられなかったものだから、うろうろしてしまった。(というか本当に空間把握が不得手なので帰りも探し回ってしまった。今もロッカーの場所が定かではありませんが、多分2階カウンター付近だったんだと思います。トイレの並びではない方。)
 ロッカーは100円玉を入れて鍵をかけ、利用後は戻ってくるタイプ。30個ありました。

 

書架の並び

 そのフロアにたまたまあったので民俗学の棚を見ました。背後は閲覧席になっていて、席は埋まっていました。

 背ラベルは二段で、『アーサー・ランサムのロシア昔話』は上段が「人文」、下段が「018 ラ」になっていました。また、裏表紙にISBNのバーコードぐらいの大きさのラベルに「人文 民俗・地理 民俗学 日本神話・民話」というカテゴリと書名が書かれています。
 ……「日本神話・民話」の棚にロシア昔話があるので怪訝に思いつつ、ほかにも数冊世界の昔話が混じっていたため、こういうものなのかな、「日本神話」&「(世界の)民話」の棚なのかなと無理矢理自分を納得させました(後から思うとそんなわけありませんでした)。
 とにかく棚がすごいことになっていて圧倒されました。〔018〕の中がラベルどおりの50音順に配架されていないのが気になります。いや50音順までは努力義務だよってことなのかもしれませんが、シリーズがぱらぱらと配架されていて、『対訳日本昔噺集』の1と2がばらけているのはまだしも、松谷みよ子の10冊以上あるらしきシリーズ(失念。『現代民話考』か?)がばらばらなのは落ち着かない気持ちになりました。

 思わずできる範囲で前後で入れ替えてみたりもしましたが、ここの棚が既にぱつぱつだったのか、あまりはかどりませんでした。というかちゃんと覚えていませんが、オープン当初から棚がぱつぱつなんてことがあるんだろうか?それでいいのか?

 

元の書庫本

 ちなみに『アーサー・ランサムのロシア民話』は元版と新装版が離れたところに並んでいました。
 改訂版や新版が出たような本は、古いほうを書庫に保存したりするのが一般的なのではないかと思います。この本も元版については以前は書庫本だったらしく、図書館バーコードの横に書庫シールが貼ってありました。
 ほかにもかつて書庫本だったのが開架に呼び戻されてきたらしい本は多々あり、新旧『栄養学ハンドブック』も2冊くらい並んでいました。あと、古い白書らしきものも一緒に並んでたりして、最近のは一緒に置いてないけどタイトル変わったのかなぁ、などと思いました。

 

配架場所は〔飾〕

 書架の上の飾り棚みたいな部分にも、一見利用頻度が低そうに見える全集や辞典の類が並んでいました。
 下の書架と類似した内容の本が並んでいることもあるし、あ、こんなところに(旧)日本古典文学大系が…みたいな発見もありました。
 いま場所が思い出せないのでOPACで調べたら、『日本古典文学大系』の何巻だかもわからない本の所蔵場所は「飾料理」だそうです……。飾り棚…飾り…。元の請求記号が「/918/ニ/2」なので、資料コード「110074986」の『日本古典文学大系』は多分2巻です。2巻ってなんだっけ。収録内容というか各巻タイトルだけでも表示されるようにならないのでしょうか。

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 古く見える本だけかと思いきや、小学館の新全集も上(飾)でした。歴史の書架の上(飾)には国史大辞典があったし、3階の語学・参考コーナーでは日本国語大辞典はさすがに下の棚に並んでいましたが、角川古語大辞典は上(飾)でした。涙涙。
 それと参考図書といえば、百科事典が語学・参考〔159〕なのはそれとしても、旧版らしきものが上(飾)に置いてあったり、その本にカビが生えていそうな雰囲気なのが気になりました。

 追記:いただいたコメントに関して(ありがとうございます!)
"読めないのに検索できる意味がよくわかりません。" 
 …マジレスすると、職員が取り出してくれるはずです。結局書庫と大して変わらないように思えますが。書庫のほうが高層でない普通の棚に纏まっている分職員も楽だと思われます。
 ネットを見ていると、「高い棚にある本をご希望の方は、スタッフまでお声がけ下さい」という表示があったとのことでした。でも、声、かけにくいですよね…。

分類

 分類は、これは間違っているのでは…?というものも見かけましたが、一方で旅行097の京都のところに森見登美彦の文庫版の『太陽の塔』『新釈走れメロス』『恋文の技術』があるのなど、これはこれで意図があるのだろうかとも思いました。
 いずれにしろとにかくすごい量に圧倒されてしまいます。私が1冊2冊カウンターに持っていったところでどうにかなるものじゃない……という気持ちに物凄くなってしまいました。
 本当はそれではいけない、明らかな間違いは1冊1冊直してもらったほうが次の人のためだと頭ではわかっていても、小姑みたいな真似になるし気が進みませんでした(ランサムだけでもお伝えしておけばよかったかもしれません…)。

 

 長くなったのでとりあえずここまで。改行と段落、見出しの使い方がよくわからない。

ルック・オブ・サイレンス見てきた。

 前作は、アンワルやヘルマンのキャラクターに魅力(というのに抵抗はある)があったなぁと思った。実際、加害者を40人以上取材したうちの一人だったというし。
 前作で加害者がどんな自責の念と戦うことになって苦しもうが、見ているほうはさほど心が痛まずにいられて、葛藤して当然と思えた。

 今回は、アディが希望したことであったとしても、被害者の遺族(と言ってもアディ自身は兄が殺された後に誕生している)に胸糞悪い数々のインタビューを見せて表情を撮影するのは正直どうなんだろうかと感じてしまう。監督の正義感とか、こういうものを取りたいという気持ちが強すぎるのでは? あまり被害者に寄り添っているような感じがしないというか。
 また、前作はアクトの側面が効果的だったんだと思う。今回はより静かで、重苦しかった。
 被害者の血を飲んだから正気を保っていられた、そうでないものは気が狂って(?)木に登ったりしていたと語るかつての殺人者においおい、と戦く。
 もう亡くなっている殺人者の遺族のところに訪ねていくあたりとか、訪問を受けた方も困惑していると思う(たとえばアンワルの孫のあの二人とかこれからどうなるんだろうか)。でも、罰せられる恐れも全くなく堂々と出版した本についてカメラに語っていた生前の加害者の横にいた妻が、アディの告白を受けて知りませんと主張するあたりとか醜悪。
 ほかにも、友好的な娘さんが「父は認知症で…」としきりに強調するのも、その父がたくさん話していた場面の直後なので気まずいものがあった。良い関係を築きたいと何度か口にして握手をしていたのは良いことなのかな?とも感じたけど判断しがたい。
 アディの息子が共産主義者の子弟の通う学校で、共産主義者がかつてしたという所業の残酷さと共産主義の否定をショッキングな形で叩き込まれている場面が怖かった。
 1900年代の生まれだという記録のあるアディのお父さんは本当にその年齢なんだろうか。17歳、と言い張る場面など少しだけ和んだけど、ここは知らない家だこわい、こわいってうろたえている場面は悲しかった。